2021.05.04
「温泉」には、「温泉法」で定めた定義があります。温泉法による温泉の条件とは下記の通りです。
日本の温泉法は昭和23(1948)年に施行されています。
第二条、この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
例えば、成分そのものが温泉と全く同一でも海水は「温泉」ではありません。
「地中から湧出」しているものではないからです。
でも海水は温泉の「塩化物泉」に相当する成分を持ち、しかも規定値の約35倍の濃さがあるので、温泉ではないけど「温泉のような高い効果」があると考えていいでしょう。
水蒸気やガスでは入浴できないので、そこに地下水を通したり、混ぜたりしても、温泉の規定値を満たしていれば温泉です。これを「造成温泉」と呼びます。
「別表」に掲げている条件は下記の2つ。
1.「温度(温泉源から採取時の温度)」が25℃以上であること。または、
2.「溶存物質の総量」「リチウムイオン」「水素イオン」「よう化物イオン」「メタけい酸」など含有成分に関する19の特定条件のうち1つ以上規定値に達しているもの。
つまり「温度」か「成分」のどちらかが規定に達しているものが「温泉」である。
法律的には、冷たくても温泉成分が含まれていなくても温泉となりうる。
また、源泉においての規定だから、その後成分が全く消失してしまっても温泉表記可能。
地中の深いところほどマグマにも近づくので水温は上がる。実際に地中を100m掘るごとに地下水の温度は2~3℃前後上昇。
つまり地下1000mほど掘った場合、湧き出した地下水は25℃以上になっていることが多く温泉の定義による「温泉」。
日本の場合海水の成分に近い「塩化物泉」になりやすく、このような理由から、掘削技術の進化により都心部でも温泉が新たに誕生する。
温泉に泉質名がつくため、また「適応症」が認められるためには、「療養泉」でなければならない。
鉱泉分析法指針で定められている「療養泉」の条件とは下記の通り、温泉の条件より厳しい。
1、源泉温度が25℃以上であること。
または、
2、「溶存物質の総量」「総硫黄」「二酸化炭素(遊離炭酸)」など含有成分に関する7つの特定条件のうち1つ以上規定値に達しているもの。
例えば、総硫黄が温泉1kg中に1mg以上含有されていれば「温泉」だが泉質名はない。2mg以上含有あれば、「療養泉」と認められ「硫黄泉」と表示可能。
療養泉ですと、適応症を表示することが認められる。
単なる温泉1ミリでは成分が少ないため、泉質名をつけることが出来ない。
また「温泉の条件」にある成分が「療養泉の条件」とは違う。
「メタほう酸」「メタけい酸」「ラジウム塩」「ストロンチウムイオン」「バリウムイオン」「リチウムイオン」「マンガンイオン」「臭化物イオン」「フッ化物イオン」「ひ酸水素イオン」「メタ亜ひ酸」「炭酸水素ナトリウム」が規定値に達していれば「温泉」となるが、「療養泉」としては泉質名が無く適応症を表示出来ない。
溶存物質 総量1000以上
遊離二酸化炭素1000以上 CO2
総鉄イオン 20以上 Fe(2+)
水素イオン 1以上 H(+)***
よう化物イオン 10以上 I(-)
総硫黄 2以上 S(HS +H2O3(2-) +H2S対応するもの)
ラドン8.25Me111Bq以上 Rn
以上7項目 (水素イオンのみ温泉規定と同数量。)泉温25℃加えると「療養泉8項目条件」と言われている。
溶存物質1000以上、遊離二酸化炭素1000以上、総鉄イオン20mg以上、水素イオン1mg以上、よう化物イオン10mg以上、総硫黄2mg以上、ラドン111Bq以上の7元素+泉温25℃以上のみが下記表における適応症を掲げることが可能。
1.単純泉
2.塩化物泉
3.炭酸水素塩泉
4.硫酸塩泉
5.二酸化炭素泉
6.含鉄泉(含銅泉)
7.硫黄泉
8.酸性泉
9.放射能泉
10.含よう素泉
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(ライター)専門家《湯治のプロ》早川善輝